テレワーク下の営業で生産性を最大限にする方法とは?
なぜ、テレワークを取り入れる必要があるのか?
もともと一部の企業はテレワークを取り入れていました。働き方改革に積極的で、よりよい働き方を考えた際の1つの選択肢として、テレワークが導入されていたのです。
しかし、新型コロナウイルスの影響により、多くの企業がテレワークの導入を半ば強制されることになりました。珍しい働き方の1つだったテレワークが、一般的な労働形態への仲間入りを果たしています。
総務省の調査によると、調査対象となった従業員100人以上の規模の企業のうち、2020年の段階で47.5%がテレワークを導入済みと回答。これは前年の20.2%と比較し大幅な増加となりました。導入目的は新型コロナウイルスの感染防止を含む「非常時の事業継続」が最多の68.3%です。また、全体の74.6%が、テレワークの導入により効果を得られたと回答しています。緊急事態宣言の解除に伴ってテレワークをやめた企業も存在します。
しかし、その後もテレワークを継続している企業も少なくありません。新型コロナウイルスによって変わった人々の意識は、これからの働き方に大きな影響を残すと考えられています。
テレワークを導入するメリット
コロナ禍の影響でやむなく導入した企業も多いテレワークですが、これほどまでに普及したのは多くのメリットを持つからです。代表的なメリットを2つ見ていきましょう。
経費を削減できる
オフィスで働くには多くのお金がかかります。土地や建物、電気や水道といったインフラ、椅子と机、パソコン、コピー機などさまざまな設備が必要です。これらには継続的にコストが発生し、長期的に見れば企業にとって大きな負担となります。また、従業員に交通費手当を支払う場合はそれも出費となるでしょう。
一方、テレワークではこれらの費用はほとんど発生しません。パソコンなど業務に必要なものは従業員に貸し与えなければなりませんが、大半のものは企業側が負担せずに済みます。テレワーク導入時には初期費用が発生しますが、一度体制が整えば企業に継続的な経費削減効果をもたらしてくれるでしょう。
多様な人材を獲得できる
オフィスに人が集まる労働形態では、働ける人は限られます。たとえば、育児をしながら働きたい人は、毎日同じ時刻に出社するのが困難な場合があります。このような人は、もっと柔軟に働ける職場を求めて転職するかもしれません。
また、都市部にオフィスを構えていると、地方の人材を採用しづらいのが課題となります。せっかく地方に能力と意欲を持つ人材がいても、単に地理的に遠いからというだけで働けない場合があるのです。
一方、テレワークを導入すればこの心配はなくなります。自宅で育児をしながら仕事をすることも、都市部から離れた地方で働くことも可能です。現在、日本の人口は減少しており、これから労働力の確保は企業にとって課題となってくるでしょう。そのような中、テレワークを推進して多様な人材を確保することは、多くの企業にとって喫緊の課題と言えます。
テレワークの導入がなかなか進まない理由
ここまでで解説したとおり、テレワークには感染症対策や経費削減、人材確保などさまざまなメリットがあります。ところが、実際にはテレワークが遅々として進んでいない企業も珍しくありません。
その最大の障壁はコミュニケーションです。直接対面することがなくなり、業務連絡や勤怠管理を含むコミュニケーションの難易度が急激に上がりました。単に業務上のコミュニケーションが難しいだけでなく、日常のひとコマであった雑談も困難になり、孤独を感じて生産性を低下させている人も少なくありません。
この課題を解決するには、テレワーク環境下でもスムーズにコミュニケーションをとれる体制の構築が大切です。たとえば、多くの企業ではITツールを使っています。チャットツールや社内SNS・掲示板などを通じ、業務連絡だけでなくちょっとしたコーヒーブレイクも一緒に行うことで、社員のエンゲージメントを高めているのです。
テレワーク下の営業課題
現在、働き方改革や新型コロナウイルスの影響によるテレワークの増加に伴い、営業活動に問題が生じています。主な問題は以下の3つです。
対面での集客や商談が行えない
従来、営業活動は対面で行うのが一般的でした。ところが、現在では対面で行おうとしても、社会的にそれが困難な状況にあります。できる限り対人接触を控え、新型コロナウイルスの感染を避けなければなりません。
この流れを受け、多くの企業が対面による集客や商談を諦めざるを得なくなりました。各種オフラインイベントは中止に追い込まれ、否応なく新しいスタイルの集客・商談へのシフトを迫られています。これまで、集客・商談をオフラインイベントに頼ってきた企業にとっては切迫した事態と言えるでしょう。
テレアポやDMの効果が出にくい
対面での商談や集客が不可能なら、テレアポやDMを活用すれば良いのではないかと考える人も多いでしょう。
ところが、テレワークが増加している現在、こうした営業方法を従来どおりのスタイルで活用するだけでは、成果を得づらくなっています。なぜなら、顧客企業のオフィスに社員がいないためです。
電話やDMによってアプローチしても、そもそもそれを受け取る社員がオフィスにいなければ意味がありません。テレワーク下でも顧客企業の社員にアプローチを届けられる新しい方法を考える必要があります。
決裁までのスピードが遅い
従来は、決裁は紙の書類を社内で回覧し、申請・承認の手続きを踏むのが一般的でした。
しかし、テレワークが普及した昨今、この方法では必要以上に時間がかかるとして、多くの企業が改善を迫られています。申請業務を電子化し、電子上でやり取りが完結するようにすれば、時間を大幅に短縮できます。
ところが、まだ申請業務を電子化していない企業も少なくありません。そうした企業の場合、営業で成約してから決裁が行われるまでに長い期間を要することになります。
テレワーク営業の生産性を最大限にする方法
先述したように、テレワークを導入するには、メリットと、テレワーク普及に伴う弊害も出てきていることが現状です。
では、これまでの、メリットを最大限活かしながら、弊害を最小限に抑えて、働ける環境を整えるためには、ITツールの力を借りることが大切です。具体的にどのようなツールや、工夫を取り入れるべきか、紹介します。
社内文書をデータ化する
まずは、社内文書を遠隔で取り扱えるよう、電子データ化する必要があります。そのためのITツールを2つ見ていきましょう。
文書管理システム
文書管理システムとは、社内で取り扱う文書を電子データ化し、それを管理するツールのことです。単に文書を共有するだけであれば、メールやチャットによる送受信のほか、オンラインストレージでも可能です。しかし、文書管理システムの長所は管理のしやすさにあります。
たとえば、文書管理システムには高度な検索機能が付いています。文書内のキーワードや作成日時、文書にあらかじめ付与したタグなどに基づいて目的の文書を探し出せるのです。また、バージョン管理機能やセキュリティ機能にも優れ、さまざまな文書を安全かつ確実に保管・共有できます。
これまで紙で取り扱っていたものを電子化する際には、急激な環境の変化に戸惑うかもしれません。しかし、紙よりも探し出しやすく、印刷などに伴うコストも発生しないため、長期的に見れば大きな利益につながるでしょう。
電子契約システム
電子契約システムとは、電子データとして契約書を取り扱い、ツール上で契約の締結や管理を行うものです。PDF形式の契約書に、電子署名やタイムスタンプを付与することで契約を締結します。締結した契約は、契約日時やキーワードに基づいて検索できるなど、管理機能も豊富です。
さらに、稟議のワークフローを備えたツールなど、契約に伴う各種業務プロセスそのものを改善できるシステムもあります。これらの機能を駆使すれば、遠隔にいても問題なく契約の締結・管理を行うことが可能で、印鑑を押すためだけに出社する必要はなくなります。テレワーク環境下での営業方法では欠かせないツールの1つとなりました。
コミュニケーションツールを導入する
テレワークでは遠隔でもコミュニケーションをとれるシステムが必要です。代表的なメールやオンライン会議システムのほか、以下のツールも役立ちます。
ビジネスチャットツール
1対1でのやり取りのほか、グループで複数人とやり取りできるツールです。テキストを入力して投稿すればそれがすぐに共有され、メールよりも気軽にコミュニケーションがとれます。テキストだけでなく画像やPDFなど多様なファイルをアップロードし、共有することも可能です。
また、社外の人をグループに入れることも可能です。パートナー企業と共同でプロジェクトを進める際などに重宝するでしょう。
社内SNS
社内SNSとは、その名のとおり社内で利用するSNSです。一般的にSNSと言えば不特定多数の人が使うツールを指しますが、社内SNSには社内の関係者だけが参加します。
業務連絡も可能ですが、基本的には普通のSNSのように、なんてことのない情報を互いにやり取りして社内の風通しを改善するためのツールです。その日の出来事や、顧客から寄せられた意見、社内で活躍した人の情報などを共有することでコミュニケーションの活発化を図れます。
従来、このような雑談はオフィスの中で行われていました。テレワークの環境下ではそれができないため、代わりに社内SNSを使うことで社員同士の相互理解を深められます。
営業管理ツールを導入する
テレワーク環境下では、営業のスタイルも従来とは変わってきます。新しいスタイルにはどのようなITツールが必要なのでしょうか。
ウェビナーツール
近年、ウェビナーが盛んに行われているのを知っていますか。ウェビナーとはオンライン上で行うセミナーのことです。従来のオフラインセミナーが困難になったため、急激に脚光を浴びることになりました。
ウェビナーはさまざまな形で活用できますが、営業活動においてはリードの獲得時に効果を発揮します。顧客の関心を惹けるテーマでウェビナーを開催し、顧客の悩みを解決できる方法として自社商品を紹介することで商談へとつなげるのです。
また、こうした時代の流れに伴い、便利なウェビナーツールも多数登場しました。チャットやアンケートといった機能が充実し、オフラインセミナーに劣らない上質なセミナーを実現します。主催者・参加者の双方にとって、オフラインセミナーよりも負担が少ないため、多くの企業が積極的に開催しています。
オンライン商談システム
オンライン商談システムとは、従来は対面で行われていた商談をオンライン上で行うためのシステムです。
基本的にPCを使い、互いの顔をカメラで映した状態で、マイクを通じて話をします。その際、画面に資料を提示したり、説明をしながら資料に情報を書き込んで共有したりと、対面での商談と同じことを実現する機能が備わっています。また、あとで確認できるよう商談内容が記録され、議事録を簡単に作れるなど、サポート機能を備えた製品も少なくありません。
類似したツールにWeb会議システムがありますが、こちらは複数人が集まって議論をするのに適しています。一方、オンライン商談システムは基本的に1対1で話をするツールで、よりセキュアな環境で商談を進められます。
MA・SFA・CRM
MAとは、マーケティングオートメーションのことです。メルマガ配信など、システムで自動化できる作業を担います。SFAは営業担当者を支援するシステムです。スケジュールや商談履歴などさまざまな項目の管理を支援します。
そして、CRMは顧客との関係を管理するシステムです。SFAと類似したところがありますが、顧客の購買履歴や寄せられたクレームなどを管理することで適切な顧客フォローを実現します。
MA・SFA・CRMは役割に違いはあるものの、いずれも顧客との間に良好な関係を構築し、適切なアプローチによって購買へ導くためのマーケティングツールです。テレワークでは顧客と直接対面する営業方法は採用しづらくなりましたが、これらのツールを活用することで顧客を知り、適切な戦略を立てやすくなります。
MA・SFA・CRMツールのメールを活用したリードの育成例
メールは主に、リードナーチャリングで活用できます。適切なペースでメールを配信することにより、顧客との関係を深めていくのです。
具体的には、次のような手法があります。
ステップメールとは、特定のアクションをとった顧客に対し、事前に作成したシナリオに基づいてメールを送る手法です。たとえば、資料請求をしてくれた顧客に対し、当日にお礼のメール、3日後にウェビナーへの案内といった流れでメールを送り、徐々に密な関係を作っていきます。
・セグメントメール
属性に基づいて顧客をグループ分けし、その属性に適したメールを配信する手法です。たとえば、セミナーを申し込んだ人にはセミナーの案内、商品のお試し版を請求した顧客には本製品や関連製品の紹介といったコンテンツのメールを送ります。
まとめ
ツールを活用してテレワーク導入を効率的に進めよう!
テレワーク環境下での営業方法はITツールの力に大きく依存します。適切なツールを利用することで、遠隔地にいながら社員同士あるいは顧客との間で適切なコミュニケーションをとり、職務に励めるようになりました。
テレワークを導入すれば、感染症対策だけでなくコストカットや多様な人材確保など、幅広いメリットが得られます。この機会に本格的な導入を検討してはいかがでしょうか。具体的には以下の営業方法が効果的です。
(社内文書をデータ化する)
・文書管理システム
・電子契約システム
(コミュニケーションツールを導入する)
・ビジネスチャットツール
・社内SNS
(営業管理ツールを導入する)
・ウェビナーツール
・オンライン商談システム
・MA/SFA・CRM
また、これまで以上に社内での連携を意識し、コミュニケーションをとることが大切です。以上を踏まえ、成約数の増加を目指しましょう。