ウェブとリアルセミナーの良いとこどり!2つを併用する「ハイブリッドセミナー」とは?
・今、セミナーを「リアルの場」に戻す動きが増えている
・リアルセミナーのメリット・デメリットを再確認しよう
・リアルセミナーとウェビナーを併用するのも一つの選択肢
・ハイブリッドセミナーの運営で失敗しないコツ
・まとめ
今、セミナーを「リアルの場」に戻す動きが増えている
新型コロナウイルスによってリアルな場でのセミナーが難しくなった結果、ウェビナーが普及することになりました。しかし、現在セミナーを従来のリアルな場で行うものに戻そうとする動きも発生しています。
ある企業の調査データでは、サービス・製品の導入にあたって情報収集をする立場にある20歳以上の男女にアンケートを実施。その結果、約3割から「コロナ禍が収束したらリアルな場のセミナーを希望する」という回答が得られました。多数派ではありませんが、一定数の人がリアルセミナーに魅力を感じていることが分かります。
また、セミナーと似た例として、海外での大型イベントもリアルな場への回帰が見られます。たとえば、ドイツのベルリンで開催される大型テックイベントのIFA 2021は、例年どおりリアルな場での開催が予定されていました。結局、新型コロナウイルス変異株の出現などにより開催は見送られましたが、可能な限りリアルな場で行おうという姿勢が見られます。
リアルセミナーのメリット・デメリットを再確認しよう
リアルな場でのセミナーは、ウェビナーとは異なる特徴を持ちます。そのメリット・デメリットを具体的に見ていきましょう。
メリット:参加者の反応が分かりやすい
これは、ウェビナーが普及した結果、多くのセミナー講師が実感したことではないでしょうか。画面越しでは参加者の反応を掴みづらく、その反応に合わせてトークを調節することもできません。特に、視聴者がカメラをオフにした状態で参加するウェビナーでは、参加者の顔を見ることさえ不可能です。結果的に話し方が淡泊になってしまい、参加者の心を掴めないまま終わってしまいます。
対して、リアルな場であれば、参加者の表情や場の雰囲気を把握できます。そして、それに合わせてトークを行うことで参加者に熱量が伝わりやすく、より濃密に情報を伝えられるのです。
メリット:参加者が気軽に質問しやすい
ウェビナーと比較し、リアルな場のセミナーは質問しやすいという意見もあります。ウェビナーは講師が雰囲気を把握できないのと同じように、参加者にとっても空気感を掴めみづらい環境です。そのため、自分の質問が周りから浮くのではないかと不安になる人も少なくありません。
一方、リアルな場のセミナーにはある種の熱気があります。セミナー参加者の多くは高い学習意欲を持つ人だからです。そして、そのような空気感だからこそ躊躇なく質問でき、理解を深められます。
デメリット:会場の予約や準備が大変
リアルな場でセミナーを行うには会場の設営が必要です。そして、これには多くの労力や時間、お金がかかります。たとえば、東京で会場を予約するには、10人程度しか入れない部屋を1時間借りるだけでも数千円のコストになります。さらに、その会場に赴いて機材の準備などを行うには、人件費や交通費もかかるでしょう。これらのコストは開催のたびに発生するため、開催頻度を下げる原因になります。
片や、ウェビナーなら開催コストは最小限で済みます。人を収容するスペースが必要なく、自社のオフィスから配信できます。機材は一度そろえれば何度も使えるため、開催のたびに大きなコストが発生する心配もありません。
デメリット:集客範囲が限られる
リアルな会場を活用したセミナーの場合、地理的な制限がされてしまい、遠隔地に住む人を集めるのは非常に困難です。東京や大阪といった大都市圏で開催する場合は十分に集客できるかもしれませんが、地方の企業にとっては大きな負担となるでしょう。
しかし、ウェビナーであれば地理的な制約は一切なくなります。インターネット上のイベントであるため、日本全国どころか世界中の人を対象として集客できます。
リアルセミナーとウェビナーを併用するのも一つの選択肢
リアルセミナーとウェビナーはそれぞれ一長一短です。どちらを選ぶべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで検討したいのが、リアルセミナーとウェビナーを併用するハイブリッドセミナーです。
ハイブリッドセミナーとは、リアルセミナーを開催し、それを撮影してオンライン上でも配信する形式のセミナーを言います。参加者にとっては、リアルな会場に行くかオンラインで視聴するかの2つから参加方法を選べる、自由度の高い形式です。
これにより、リアルセミナーのメリットである「講師が参加者の反応を掴みやすい」点と「参加者が質問しやすい」点、そしてウェビナーのメリットである「集客範囲が広い」点を両立できます。リアルな会場と配信機材を併用するためコストは従来のセミナー以上にかかってしまいますが、その分高品質なセミナーとなるでしょう。
ハイブリッドセミナーの運営で失敗しないコツ
ハイブリッドセミナーでは、リアルセミナー・ウェビナーのどちらとも異なるポイントに注意が必要です。セミナーを成功に導く2つのコツを見ていきましょう。
機材や配置を工夫する
ハイブリッドセミナーでは主に以下の機材が求められます。
Webカメラで講師を撮影し、オンラインで配信するために必要です。ウェビナーツールをインストールし、安定する有線でネット接続します。
◇ハンディカメラ
ノートパソコンに搭載されたWebカメラではなく、高画質なハンディカメラを使う方法もあります。講師を映せる位置に三脚で設置しましょう。
◇モニター・プロジェクター
資料を映し出すためのものです。リアルな会場のほうではモニターに資料を映し、オンライン配信側ではウェビナーツールでその資料を表示させます。
◇スイッチャー
映像を切り替える機器です。撮影機器が複数ある場合、映像を切り替えるために使います。
そのほか、音声が聞こえにくければ高品質なマイクを身に着けたり、映像が暗ければスタジオライトで照らしたりと、必要に応じて機材を用意します。リアルセミナーとして成立させつつ、配信映像としても快適に視聴できるよう、実験を繰り返しながら機材を用意・配置しましょう。
ウェビナー参加者にも気を配る
リアルセミナーとウェビナーを併用する場合、講師は無意識にリアルセミナーを優先する傾向にあります。なぜなら、講師にとってはリアルな場にいる参加者こそが聞き手であり、オンラインの視聴者は目の前にいない遠くの存在と感じられるからです。しかし、これではオンライン視聴者の満足度が低下し、せっかく併用した意義が失われます。
そこで、ウェビナー側での参加者にも配慮したセミナーにすることが大切です。たとえば、身振り手振りのようにその場にいない人には伝わらない方法は避けたほうが良いでしょう。また、質疑応答の時間はリアル・オンラインでそれぞれ設け、リアルでは挙手、オンラインではチャットに書き込むなど、事前にルールを策定・周知しておくことで公平感が生まれます。
そのほか、講師とは別にファシリテーターを用意するのも有効です。ファシリテーターとは、イベントの進行を管理する人のことを言います。リアル側でばかり盛り上がっていたら、ファシリテーターがオンライン側の視聴者にも質問を募るなど、細かなケアを行うことで良いイベントとなるでしょう。
まとめ
ウェビナーとリアルセミナーの併用を検討してみよう
ウェビナーが一般的になった結果、リアルセミナーならではのメリットも浮き彫りになり、回帰しようという動きも生じています。しかし、どちらか一方を選ぶのではなく両者のメリットを両立させることも可能です。
ウェビナーとリアルセミナーを併用するハイブリッドセミナーなら、リアルな場に人を集めつつ、遠隔地の人にもウェビナーとして配信できます。アフターコロナを見据えて検討してはいかがでしょうか。